長年にわたり会社に貢献してくれた従業員を称える永年勤続表彰。感謝の気持ちを込めて記念品を贈りたいと考える一方で、人事・総務担当者の頭を悩ませるのが「税金」や「社会保険」に関する複雑なルールではないでしょうか。
良かれと思って選んだ記念品が、実は給与課税の対象となり、従業員の手取りを減らしてしまう結果になっては本末転倒です。特に近年人気のある「カタログギフト」は、その利便性の高さゆえに税務上の判断が難しいケースがあります。
本記事では、永年勤続表彰における課税・非課税の境界線や、社会保険・労働保険の取り扱いについて解説します。あわせて、企業のブランディング効果を高めつつ、従業員に喜ばれる新しい形のギフトサービスをご紹介します。
※ここでご紹介するのはあくまで一例であり、最終的な判断は各企業の所轄税務署に委ねられます。税務署によって解釈が異なる場合があるので十分にご注意ください。
この記事の監修者

ギフトコンシェルジュ
清野飛鳥
法人様向けのオリジナルカタログギフトを手軽に作れる「PsyPre for Biz」を統括しています。想い出に残るイベントや福利厚生などのお悩みをサポートいたします。
永年勤続表彰の記念品は課税対象?判断の基準となる3つの要件

永年勤続表彰として支給される金品が「給与所得」として課税されるかどうかは、支給されるものの形態や金額、期間によって異なります。まずは基本的な課税ルールの原則を理解しましょう。
現金や商品券は給与所得として課税される
従業員にとって使い勝手が良いからという理由で、現金や商品券、ギフトカードなどを支給することを検討される場合があるかもしれません。しかし、永年勤続表彰であっても、現金や商品券などの金銭等で支給されるものは、原則として全額が給与として課税対象になります。
これらは換金性が高く、金銭を支給するのと変わらないとみなされるためです。たとえ「旅行に行く代わりに現金を渡す」といった名目であっても、現金である以上は給与課税されるため注意が必要です。
記念品が非課税となるための具体的な条件
一方で、時計やトロフィー、旅行などの「モノ」や「体験」を支給する場合は、一定の要件を満たすことで非課税(福利厚生費)として処理できる可能性があります。国税庁の指針や実務上の慣例に基づき、以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。
1つ目は、支給する記念品の価額が、勤続年数や地位に照らして社会一般的にみて相当な金額以内であることです。
2つ目は、表彰の対象者がおおむね10年以上の勤続年数であることです。
3つ目は、同じ人が2回以上表彰を受ける場合、前回の表彰からおおむね5年以上の間隔があいていることです。
これらの条件を満たすことで、会社からのお祝いとして認められ、給与課税を避けることができるとされています。
カタログギフトは課税されるのか?税務上の取り扱いと注意点

近年、永年勤続表彰の記念品としてカタログギフトを選ぶ企業が増えています。受け取った側が好きなものを選べる点が魅力ですが、税務上の判断には慎重さが求められます。
自由に商品を選べるカタログギフトは原則課税対象
結論から申し上げますと、カタログギフトは原則として「給与課税の対象」となると考えられています,。
理由は、カタログギフトが多種多様な商品の中から自由に品物を選択できる性質を持っており、実質的に金銭を支給してその品物を購入させたのと同様の効果があるとみなされるためです。現物に代えて支給する金銭が含まれないことが非課税の条件である以上、選択肢の幅が広すぎるカタログギフトは、換金性の高い金券に近いものとして扱われるリスクが高くなります。
非課税の可能性が残るケースとは
すべてのカタログギフトが直ちに課税対象となるわけではありません。例外的に、単一の物品について色や大きさ程度を選択できるような限定的な内容であれば、非課税の扱いを受けられる可能性があると考えられています。
しかし、一般的な「何でも選べるカタログギフト」を非課税として扱うことは難しいため、導入する際は税理士等の専門家に相談するか、あるいは「課税対象となっても従業員の満足度を優先する」という経営判断が必要になります。
永年勤続表彰金における社会保険と労働保険の取り扱い
税金(所得税)と並んで気になるのが、社会保険料や労働保険料への影響です。これらについては、所得税とは異なる判断基準が存在します。
社会保険料は原則として対象外
健康保険や厚生年金保険などの社会保険において、永年勤続表彰金は原則として「報酬等」には該当せず、保険料の算定対象外となるケースが多いです。
日本年金機構の事例集によると、福利厚生施策として実施され、勤続年数のみを要件として一律に支給されるものであり、かつ社会通念上のお祝い金の範囲を超えていない等の要件を満たせば、恩恵的に支給されるものとして報酬には含まれないとされています。ただし、要件を満たさない場合は総合的な判断が必要となるため確認が推奨されます。
労働保険料も賃金とはみなされない
労災保険や雇用保険などの労働保険においても、永年勤続表彰金は「賃金」には含まれないとされています,。
これらは「勤続褒賞金」や「功労金」としての性質が強く、労働の対価として支払われる賃金とは区別されるためです。就業規則等の定めに関わらず、一般的には労働保険料の計算対象外として処理することが可能です。
税務リスクを考慮してもカタログギフトが選ばれる理由と相場
原則課税となる可能性が高いにもかかわらず、多くの企業が永年勤続表彰にカタログギフトを採用しています。そこには、税金のデメリットを上回るメリットがあるからです。
永年勤続表彰の相場はいくら?10年・20年の金額目安や現金支給の注意点を解説
従業員の満足度とモチベーション向上
永年勤続表彰の本来の目的は、長年の功績を称え、従業員のモチベーションを向上させることにあります。会社側が一方的に選んだ記念品やトロフィーだけでは、「好みに合わない」「置き場所に困る」といった不満が出ることも少なくありません。
カタログギフトであれば、従業員自身が今欲しいものや、家族と一緒に楽しめるものを選べるため、満足度が非常に高くなります。従業員のやる気や帰属意識を高め、離職率の低下につなげるという観点から、あえて課税対象となるカタログギフトを選択する企業も多いのです。
勤続年数別の一般的な相場
記念品の金額設定において、「社会通念上相当な金額」の目安を知っておくことは重要です。一般的な相場としては、勤続10年の場合で3万6000円程度、勤続20年の場合で7万4000円程度というデータがあり、これらが一つの基準となります。
あまりに高額すぎる支給は税務署から否認されるリスクが高まりますが、相場の範囲内であれば、課税・非課税の判断に関わらず適切な表彰制度として運用できるでしょう。

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企業の想いを伝えるオリジナルデザインとメッセージ
PsyPre for Bizは、単に商品を贈るだけでなく、企業ロゴやオリジナルメッセージを入れた「世界に一つだけのカタログギフト」を作成できます。
永年勤続表彰という節目において、会社からの感謝の言葉やロゴが入ったギフトは、従業員の会社に対する愛着(エンゲージメント)を深めるブランディングツールとしても機能します。
管理の手間をゼロにするeカタログ形式
従来のカタログギフトや記念品では、対象者の住所管理や配送手配が大きな負担となっていました。PsyPre for Bizは「eカタログギフト」に対応しており、ギフトカードやURLを送るだけで完結します。
従業員自身が住所を入力して商品を受け取るため、個人情報の管理や梱包発送の手間が一切かかりません。住所を知らない相手にもSNSやメールで気軽に贈れるため、リモートワーク環境下での表彰にも最適です。
予算に合わせて商品を自由に組み合わせ可能
最大の特徴は、1000種類以上の商品の中から、予算や相手の好みに合わせて商品を自由に組み合わせられる点です。
例えば、「リラックスセット」や「グルメセット」のように、会社側がテーマを決めて商品をセレクトすることも可能です。これにより、完全な自由選択のカタログギフトよりも「会社が選んでくれた」という特別感を演出しつつ、受け取る側の満足度も確保できます。
永年勤続表彰の記念品選びにお悩みの方は、税務上の取り扱いをクリアにしつつ、従業員の心に響く「PsyPre for Biz」をぜひご検討ください。まずは無料相談で、貴社に最適なプランをご提案いたします。



